1400年の歴史がある木構造
世界最古の木構造は、7世紀に作られた法隆寺です。木造建築を誇る日本で最初の世界文化遺産になりました。
もちろん、現存する世界最古の木構造としての例であり、木構造の歴史はさらに有史をさかのぼります。
世界最古の鉄構造は、1779年、産業革命によって製鉄業の中心となったイギリスのコールブルックデールにあるセバーン河に架けられたアイアンブリッジの鉄製の橋で、これが世界初の構造材としての鉄の使用例です。
世界最古の鉄筋コンクリートは、1875年に、フランスで鉄筋コンクリート製の橋が作られたのが、構造物として初めてのことです。構造物以外では、1867年に造園家のJoseph Monierが鉄筋入りの植木鉢で特許を取ったのが最初です。
木構造の歴史=1400年
鉄構造の歴史=230年
鉄筋コンクリートの歴史=130年

年月とともに高まる強度
<乾燥材の強度>
木材は伐採後から徐々に強度を増し、強度のピークは伐採後約200年。その後1000年以上かけてゆっくりと伐採直後の新材と同じ程度の強さに戻ります。
木材は樹齢の4倍の強度を維持するといわれています。例えば法隆寺は樹齢500年の木材が使われているので、2000年もつといわれいます。戦後植林材は樹齢60年つまり200年の強度を維持することが可能です。
また、
木材は、生まれ育った土地から緯度1度(約111km)以内で使用すると耐久性が長いといわれています。
日本の木材を使いましょう
<国産材>
戦後輸入材に頼ってきた日本も、辺りを見渡すと山には木々が生い茂っています。
現在、日本の木材の自給率は18%です。森林がない国ならいざ知らず、国土の70%の山地を有し、さらに戦後多くの植林を施し、今、伐採期の人工林全国各地で経済・環境面において問題を醸し出しています。
環境保全と経済潤滑のためにも、今こそ、国産材で家づくり考えるときです。
<地産地消>
地産地消とは、「地域生産地域消費」の略で、文字通り、地域で生産されたものをその地域で消費することです。
かつては、木材を適地で使用するため、主要な河川の「流域」を一つの単位とした流通システムがあったように、現在、県産材・地域材が注目されています。県産材使用について、無償提供や補助金制度などの普及促進活動が高まってきています。
地元の木材を地元で使うことで木材生産を向上させ、手入れの行き届かなくなっている森林をなくし、森林の本来持つ機能を充実させるために、「地産地消」事業が全国各地で動いています。
<杉>
木材は育った気候と大きな関係があります。いうまでもなく日本の山で育った杉は、日本の気候や環境に適応しています。
軽いわりに強度があり、特に赤身材は水にも強く耐水性、不朽性があり、古くから外装材にも使用されています。
調湿作用や殺菌作用に優れているところから、図書室や貯蔵室や正倉院の宝物を保管している「唐櫃(からと)」という箱にも使用されています。
日本の高温多湿な気候に適しているということは、木を食い荒らすイエシロアリなどの害虫や腐朽菌などに抵抗する力を備えています。

触れてやさしい木の肌
日本人は上足の文化で、時には素足になって床の上を歩きます。「第二の心臓」ともいわれる足の裏で、温度、硬さ、凹凸を感じとります。このように触れる機会も多いので木の家をつくってきました。優れた職人が、機械での測定でしかわからない形状差を判別する様に、触覚は人に備わっているすばらしい能力です。手や足の触覚による刺激を大切にするためにも、家づくりの素材を考えましょう。
触れて温かみのある木
鉄やコンクリートを触った時に冷たく感じるのは、これらの熱伝導率(熱の伝わる早さを表す量)が高く、手から熱が奪われるためです。木材は、熱伝導率が鉄の400分の1と大変小さく、手から熱が逃げにくい素材です。このこ
とは断熱性能に優れていることも表しています。木の細胞が無数の空気を抱え込んだ断熱材なのです。また、木には細かい凹凸があり、肌の接触面が減り、温かく感じます。 「木の温かみ」は、木のもつイメージではなく、科学的にも根拠があることです。
木の「ゆらぎ」からリラックスを促す
「ゆらぎ」とは、規則性はないが、ある法則性をもつ原則です。自然界に普遍的に見られる現象で、あらゆる自然現象の動きの元となる法則です。この「ゆらぎ」は人がとても心地よいと感じるもので、その特性を追究したところ、周波数(frequency=f)に反比例することが解明され、「1/fのゆらぎ」と呼ばれています。
木の色にやさしさと親しみを感じるわけ
木の色のインテリアに反射した光はとてもやさしく感じます。それは、木の表面にあるミクロの凹凸が光を分散し、光をやわらかくしてくれるからです。
室内で50〜60%が最適と言われる光の反射率は、木材の反射率とほぼ一致しているため、強い刺激を与えず、目にやさしく快適です。人の肌も50%〜60%であり、木も人も同じ生物であるため、やはり安らぎが生まれるのでしょう。
木の光が人にやさしいわけ
アルミニウムの光の反射率は90%、夏の日差しが強い日には眩しくて目を向けられません。コンクリートの光の吸収率は高いため、炎天下のコンクリートは触ればとても熱いのです。
この2種類の素材は光の波長による反射率の変化はほとんどありませんが、木材は光の波長により反射率が大きく異なります。夏は、肌に有害な紫外線を吸収し、冬は赤外線を効率よく反射させるので、夏も冬も木のそばが快適に過ごせるというわけです。
木材ならではのリラックス効果
20〜30kHzの、人の耳には聞こえないとされる超高音域の音も人の耳に入ると、α波が発生し、精神的が安定するといわれています。こうした超高音域の音は、虫や鳥の声、せせらぎの音など自然界の音にあります。防音に弱いとされる木造住宅には、この超高音域の音成分があり、コンクリート住宅にはこの音成分がありません。コンクリートに囲まれて落ち着かない理由はこんなところにあるのでしょうか。
木によるまろやかな響き
室内から発生する空気伝搬音を低音、中音、高温とバランスよく吸収し、木材は不快感を残さず程よい残響音を残してくれます。これは、コンクリートやビニールの20倍の吸収音で、人間の耳にとって耳障りな音域の成分を抑え、聴覚になじみやすいという結果をもたらします。
木を叩くと、“コンコン”という響き、コンクリートは“ゴンゴン”鉄はカンカン”木材は細長い中空の細胞でできているため、音をまろやかにし、やわらかい響きを生み出します。木造建築のコンサートホール、オペラハウス、劇場、などを始めバイオリン、ギター、ピアノ等楽器に木材が多用される理由もうなずけます。
木製のリコーダーはしばらく吹いていると、音がきれいに出なくなります。しかし、しばらく置いておくと、また元の音に戻ります。これは、調湿効果のある木のちからならではのこと。木製の楽器の生み出す味わい深い音色は、長い年月をかけて均一に乾燥したおかげです。乾燥した木材は、様々な場所で活躍しているのです。
嗅いも癒しの木の香り
山や森の木々・・・、新築の木造住宅・・・、木の香りは何とも言えない良い香りがします。スギから匂うほのかな香りはストレスを癒し、ヒノキの香りはやすらぎを与えてくれます。不快な匂いに対して人はストレスを感じますが、不思議なことに「木の香りが嫌い」と感じる人が木の匂いを嗅いでもストレスを感じないという観察結果が出ています。
最近、スギの香りが眠りを促進することが明らかになりました。人の脳波など測定した結果、眠りに入るのはスギの香りのする部屋の方が早くなります。また、睡眠時の脳波には、心地よく眠っているときに現れるα波が平均20〜30%も増加したことが報告されています。ストレスによって現れる精神的発汗が少なくなり、脈拍数が安定します。さらに、木のもとで睡眠をと
ると疲れが早くとれ、次の日の作業能率を上げることも実証されています。スギの香りが交感神経を抑制してリラックスした状態をつくり、睡眠を促進するのではないかと考えられます。この様な木の香りによる様々な効果は、外国産にはない国産材ならではの特徴です。
味わう、おいしい空気、木の吐息
現代においても白木やウルシ塗りの箸、それに椀が好んで使われています。プラスチックの椀や箸よりも、食事がおいしく感じられることが、味覚の情緒ではないでしょうか。
フィトンチツド効果
森林浴で有名な成分「フィトンチッド」とは、もともとロシア語からきており、フィトンとは 「植物」、チッドとは「他の生物を殺す能力を有する」を意味しており、「植物から出る揮発成分は殺菌作用がある」と言うような意味にな
ります。
森林の植物、主に樹木が作りだして発散する揮発性物質で、いわゆる″森林の精気″です。この成分の含有量が国産材により多いという林野庁調査結果があります。
フィトンチッドの放出率は、米栂、米松にくらべて、国産の杉で5倍、桧で15倍、松では30倍です。これは、住宅に仕様される製材後の木材からでも変わらず放出されています。